科学史学会の選挙では,会長1名,全体委員30名(10名までの制限連記制),監査2名が選ばれます.このうち全体委員の選挙を考えます.
posted at 16:45:49
問題は2つあって,(1)和文誌・欧文誌の編集委員長のような専門性・継続性が要求される役職も全体委員選挙で選ばれること.(2)近年,立候補者が30名に足りず,選挙が有名無実化していること.最後の投票は2009年で,その後3回連続無投票です.
posted at 16:46:02
(1)ですが,学会誌の編集委員長を含む全役員が,30名の全体委員としてまとめて選挙され,後から互選で役職を割り振るのが現在のシステムです.これは立候補者が少なく,大抵当選するからいいようなものの,欧文誌の委員長が落選して,他に適任者がいなかったらどうなるの?
posted at 16:46:14
そういうときは,委嘱委員という手があります.しかし当選しなくても重要な役職につけるなら,選挙が実質的に無意味になります.それでは和文誌や欧文誌の編集委員長,総務委員長などをそれぞれ選挙で選んだらいいのでしょうか.それも違うでしょう.
posted at 16:46:26
30人よりずっと少ない定数の理事を選んで,理事が編集委員長や総務委員長を指名するという方が合理的でしょう.この場合,理事を何十年も続ける人が出てくると権力の集中を招きますから,再任回数を制限すべきです.
posted at 16:46:38
思い切って理事を抽選で選ぶのはどうでしょうか.そもそも民主的=選挙という等式は近代の誤解です.デモクラシーは語源的には民衆(デーモス)が権力(クラトス)を持つことです.古代アテネの民主政では役職は基本的に抽選・輪番でした.
posted at 16:46:51
ちなみに貴族政治を意味するaristocracyという言葉ですが,aristosは英語のbestに相当する最上級の形容詞です.最良の者が権力を持つのが貴族政というわけです.選挙は最良の者を選ぶ建前ですから,「貴族的」ともいえます.
posted at 16:48:10
現代において,古代の民主政に最も近いものはマンションの管理組合の役員でしょう.輪番で誰にでも回ってきますから.それなら科学史学会も,10名くらいの理事を抽選で選んで,その人たちが実際に仕事をする委員を指名することにしたらどうでしょうか.
posted at 16:48:23
とんでもないとお考えの方が多いと思います.しかし理事10名を抽選で選べば,統計的に見て,その多数は良識的な人で占められるでしょう.結局,仕事をする委員の顔ぶれは大きくは変わらないと思います.
posted at 16:48:36
実際の運用では,10人定員で任期2年なら毎年5人をくじ引きで選んで半数ずつ交代し,再任は禁止または数年以上の間隔を置くことになるでしょう.また,年会発表や論文投稿をしていない(当面するつもりもない)会員に限って,辞退を認めるべきかもしれません.
posted at 16:48:49
理事抽選制が実現する可能性は低そうですが,やってみれば案外うまく行くように思います.選挙=民主政を刷り込まれた我々には抵抗感が大きい,ということになれば,数人の理事を再任回数の制限をつけて選挙で選ぶところに落ち着きそうです.
posted at 16:49:36
なお,副会長を置く(現在の会則には副会長がない)という案があると小耳にはさみましたが,これにはあまり賛成できません.会長の職務が激務で一人では無理というのでもない限り,副会長を置く意味が分かりません. #科学史学会選挙
posted at 16:49:49
近年のように,会長が高齢で十分に活動できないことがある,というのなら,長老に会長をお願いする(押しつける)のを控えるべきです.長年学会で活動され,貢献された長老に敬意を表わす適切な方法は他にあるでしょう.
posted at 16:50:03
副会長の問題点は,その選出方法が難しいことです.会長選挙の次点を充てるとか,副会長も直接選挙で選ぶとすれば,会長と副会長の基本的な方針が違ってくる可能性があり,運営上問題です.会長が副会長を指名してそれを全体委員会が承認するならば,直接選挙でなくなります・
posted at 16:50:24
すると,長老を会長にして,実質は副会長が取り仕切る,その副会長は実質的に全体委員会が選ぶ,となりえます.これでは会長の直接選挙が有名無実になり,会員は誰が副会長(実質会長)になるか分からない.古来多くの権力者に愛用されてきた,傀儡を置くやり方です.
posted at 16:50:39
そういう危険を避けるとしたら,米国の大統領選挙を真似て会長・副会長のペアで立候補することが考えられます.しかし慣例的に他薦による立候補が基本の科学史学会では,うまく機能しないように思います.
posted at 16:50:52
すると話はもとに戻って,会長が職務を果たせるならば副会長は要らない,ということになるでしょう.どうしてもというなら,会長に事故があったときに限り,次の会長就任まで総務委員長が会長の職務を代行するとでも決めておけば済む話です.
posted at 16:51:03
要するに,長老を会長に祭り上げて,副会長が実質的に会長となることが可能な制度はやめたほうがいい.提案者にそんな意図はないのでしょうが,「信用するのは良いことだ,信用しないのはさらに良い」というイタリアの諺もあります.
posted at 16:51:15
全体委員の立候補者が足りないという(2)の問題はまた後日.
posted at 16:51:34